建設業では材料費の高騰や人手不足など、外部環境の変化が大きくなっています。そのため、工事ごとの採算を安定させるには、原価を正しく把握し、ムダを抑える取り組みが求められます。

しかし現場では、
「実行予算と実績のズレが把握しづらい」
「データが散在して管理が進まない」
といった課題が起こりやすく、原価管理が十分に機能していないケースも少なくありません。

そこで本記事では、あらためて「原価管理の目的とは何か?」という基本に立ち返り、管理が上手く機能することで得られる効果やメリット、また、主な管理手法と進め方について解説します。

さらに、現場でよくある課題や、施工管理アプリを活用した解決策もご紹介します。ぜひ参考にご覧ください。

  1. 1. 原価管理の目的とは?
  2. 2. 目的①:利益確保
  3. 3. 目的②:リスク管理
  4. 4. 目的③:価格設定・見積り精度の向上
  5. 5. 目的④:コスト改善
  6. 6. 原価管理が機能することの効果・メリットは?
  7. 7. 利益率が向上する
  8. 8. コスト変動のリスクに備えられる
  9. 9. 経営判断スピード・競争力が向上する
  10. 10. 建設業における原価管理の主な方法
  11. 11. 標準原価管理(標準原価)
  12. 12. 実際原価管理
  13. 13. 直接原価計算(ダイレクトコスティング/DC)
  14. 14. 建設業における原価の分類方法
  15. 15. 直接費・間接費
  16. 16. 材料費・労務費・経費・外注費
  17. 17. 原価管理のおおまかな流れ
  18. 18. STEP①:標準原価(目標値)の設定
  19. 19. STEP②:原価計算
  20. 20. STEP③:差異分析
  21. 21. STEP④:改善
  22. 22. 原価管理でのよくある課題
  23. 23. 現場課題を解決!施工管理アプリで解決できること
  24. 24. 【まとめ】原価管理を機能させるためのポイント
  25. 25.DXトータル支援サービス「DEN-UP」でさらに便利に!

原価管理の目的とは?

原価管理とは、工事の採算性を確保し、継続的に利益を生み出すための仕組みです。その主な目的は「利益の確保」「リスク管理」「価格設定・見積り精度の向上」「コスト改善」の4つに整理できます。

【原価管理の目的】

  1. 利益確保
  2. リスク管理
  3. 価格設定・見積り精度の向上
  4. コスト改善活動

それぞれの目的について詳しく説明します。

目的①:利益確保

最初の目的は「利益の確保」です。原価を正確に把握し、適切にコントロールすることで利益の最大化を図ります。

工事ごとのコストを明確にすれば、利益率の維持・向上につながります。また、設定した目標原価と実際原価を比較することで差異の要因をつかむことができ、収益の安定化にも寄与します。

目的②:リスク管理

2つ目は「リスク管理」です。

原価変動のリスクを事前に予測し、適切な対策を講じることで損失の発生を防ぎます。さらに、将来的なコスト上昇を見据えた仕組みを構築することで、赤字を未然に防ぐことができます。

目的③:価格設定・見積り精度の向上

3つ目は「価格設定・見積り精度の向上」です。蓄積された原価データを根拠として活用することで、過剰な価格設定や利益を損なう低価格の受注を防ぎます。

これらのデータは現場だけでなく、経営レベルの意思決定にも役立ち、企業全体の判断精度を高めます。

目的④:コスト改善

4つ目は「コスト改善」です。各プロジェクトのコストを可視化することで、継続的な改善活動の基盤を整備します。

どの工程にどれだけコストがかかっているかが明確になるため、改善すべきポイントを特定し、効率化につなげることができます。

原価管理が機能することの効果・メリットは?

次に、原価管理が機能することでどのような効果やメリットが得られるのかについて見ていきましょう。

利益率が向上する

原価管理が適切に機能すると、利益率が高まります。

各費用の増減要因が明確になるので、ムダの発見や改善がしやすくなり、さらに、不要な支出や非効率な作業が可視化されるため、損失も防ぎやすくなります。

例えば、作業員が作業を始めるための他の要因を待たなければならない時間は、労務費において最も注意すべきムダとなります。

他にも、資材置き場が遠すぎて運搬に時間がかかりすぎていたり、必要な工具が整理されておらず探す時間がかかったりといったことも、トータルで見ると大きなムダになりがちです。

このように、各費用を管理することで、どこに費用が多く発生しているかが見えるようになり、改善に向けてのアクションが取りやすくなるのです。

コスト変動のリスクに備えられる

原価機能が機能すると、コスト変動が早期に察知でき、スピーディーに適切な対策が取れるようになります。

例えば、材料の価格が高騰した際は、複数の調達先から相見積もりを取ったり、安い時期を見計らって事前に発注したりといった対応が可能になります。

また、工数が増加しそうな時は、クリティカルパスを再検討したり、作業方法を変更したり、作業員の増員をしたりと、工数を回復するための対応に移ることができます。

予期せぬコスト上昇や赤字になるリスクを抑制するのも、原価管理の大きな役割となります。

経営判断スピード・競争力が向上する

原価管理によって原価が正確にわかれば、利益が出る案件なのか、損失になりそうな案件かがデータによって一目で判断できるようになるので、経営層の意思決定スピードも早くなります。

具体的には、どの部門が高い利益を生み出しているのか、またはコストを圧迫しているかが把握できるので、ヒト・モノ・カネといった経営資源を最も効率の良い分野に振り分ける判断が、迅速に実施できるようになるのです。

さらに、原価を正しく把握していれば、原価を根拠に戦略が立てられるようになり、見積りの精度も上がるので適正価格で他社と勝負できるようになります。

確実に利益を確保するために必要な最低限の価格が明確になるので、感情や憶測ではなく、根拠に基づいた価格設定が可能になりますし、顧客や元請けに対して価格改定や値引き交渉を行う際、「これ以下では原価割れする」というラインが提示できるので、交渉力も強化されます。

建設業における原価管理の主な方法

ここからは、原価管理の基本知識と、具体的な管理手法について見ていきましょう。

原価管理にはいくつかの考え方があり、目的や現場の状況によって使い分けます。

建設業における代表的な方法は「標準原価管理」「実際原価管理」「直接原価計算」の3つで、それぞれで原価の捉え方や分析の着眼点が異なります。それぞれの特徴と、どのような場面で役立つのかを整理していきます。

標準原価管理(標準原価)

標準原価管理とは、あらかじめ「目標となる原価(=標準原価)」を決めて、実際にかかった原価と比べて、その差(=差異)を分析する手法です。工事が計画通りに進んでいるかを把握し、改善サイクルを回すことが狙いです。

建設現場の他、製造業の工場など、作業工数や材料が標準化しやすい現場で広く利用されています。

実際原価管理

実際原価管理とは、実際に使った費用をすべて集計し、そのまま原価として管理する最も素直な管理方法です。現場で発生した原価を精度高く把握することが狙いとなっています。

分析は集計後となるためリアルタイム性はやや低いものの、複数の作業が混在し、標準化が難しい工事では管理しやすい方法です。

直接原価計算(ダイレクトコスティング/DC)

直接原価計算(ダイレクトコスティング/DC)とは、変動費のみを原価にし、固定費は期間として処理する管理方法です。変動費だけに焦点を当てて損益分岐点を明確にし、意思決定しやすくなることが狙いです。

固定費の配布が煩雑な環境や、受注判断・価格決定など迅速な意思決定が求められる場面で活用されます。

建設業における原価の分類方法

建設業の原価は性質によって区分の仕方が異なり、どの費用をどこに計上するかで利益の見え方が大きく変わります。

ここでは代表的な分類方法と、それぞれの特徴や注意点を整理します。

直接費・間接費

直接費とは特定の工事に直接紐づく費用です。工事の利益に直結し、原価管理の中心となります。

【直接費の具体例】
材料費、現場作業員の労務費、外注費、個別の運搬費など

材料の横流しや使い回しがあると正しく原価を集計できないので、作業日報や工事台帳での材料管理が重要となります。

一方、間接費とは、複数の工事で共通して発生し、特定の現場に直接割り当てられない費用です。工数や材料比率、外注費率などの配賦基準を使って、工事ごとに割り振ります。

【間接費の具体例】
施工管理者や事務員の人件費、事務所の光熱費、減価償却費など

配賦基準が曖昧だと採算が大きく狂い、赤字と黒字の判断を誤ることがあります。そのため、一度基準を決めたら同じ基準で継続的に配賦する必要があります。

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材料費・労務費・経費・外注費

工事原価は、主に「材料費」「労務費」「経費」「外注費」の4要素で構成されます。

材料費は、その名の通り材料に関する費用で、材木やセメントのような特定の工事への使用が明確な直接材料費と、複数の工事で使用される接着剤や工具などの間接材料費があります。

次に労務費ですが、現場作業員や技術者、現場監督などの賃金、給料、福利厚生費など、いわゆる人件費のことです。特定の工事に直接関わった分は直接労務費として、それ以外の費用は間接労務費として計上されます。

そして、建設業特有の費用が外注費です。協力会社など他業者に委託した代金で、工事原価に占める割合が大きいため、建設業会計では独立した要素として区分されます。

4つ目の経費については、上記の3要素のいずれにも該当しない費用で、水道光熱費や機器の減価償却費などが含まれます。

原価管理のおおまかな流れ

原価管理は、単にコストを記録するだけではなく、PDCAサイクル「計画(Plan)→実績の把握(Do)→分析(Check)→改善(Action)」という流れを繰り返しながら精度を高めていくのが基本です。

【原価管理のおおまかな流れ】

  • 標準原価(目標値)の設定
  • 原価計算
  • 差異分析
  • 改善

STEP①:標準原価(目標値)の設定

工事開始前に、基準となる標準原価を決めます。そして、材料費・労務費・外注費など工事に必要な原価をあらかじめ見積ります。

この基準値が、後の差異分析・改善の土台となります。

STEP②:原価計算

工事が始まると、発生したコストを収集・集計し、これらを材料費・労務費・経費、直接費・間接費に整理します。また、間接費は会社で決めた配賦ルールに基づいて各工事に割り振ります。

STEP③:差異分析

STEP①の標準原価と、STEP②で集計した実際の原価を比較して、差異を算出します。そして、その差異の内訳について、想定よりも高かったのか/安かったのか(価格差異)、工数が増えたのか/減ったのか(作業時間差異)などを分析し、その原因を特定していきます。

STEP④:改善

差異の原因を解消し、次回以降の採算性を高めるステップです。具体的には、工程の改善や手順の見直し、仕入れ先や契約条件の見直しなどを実施します。

そして、これらの改善内容を踏まえ、次回の標準原価(STEP①)に反映させます。

原価管理でのよくある課題

実際に管理業務を担っている現場では、必要な情報が紙やExcelなどさまざまな場所に散在して共有が遅れたり、入力作業まで手が回らず報告が後追いになったりしやすいという問題が発生しがちです。

さらに、特定の担当者への依存、手作業による記録・管理ミス、データ整理の不足によるコスト構造の不明瞭さなども、現場でよく見られる課題です。このような課題が山積すると、当然ながら施工管理や経理担当者の負担が増加しますし、分析・改善活動も十分に実施できません。

原価管理に関わる課題は互いに影響し合うため、個々の現場努力だけでは根本的な解決に結びつきにくいのが実情なのです。

現場課題を解決!施工管理アプリで解決できること

原価管理の課題解決策の一つとして、「施工管理アプリ」の活用が進んでいます。

施工管理アプリとは、建設現場での進捗管理やコミュニケーションを効率化するためのデジタルツールです。そして、アプリ導入による大きなメリットは、情報がリアルタイムで一元管理できる点にあります。

プロジェクト管理機能を使えば、現場の進捗・工程・人員配置がリアルタイムで把握でき、複数現場の状況も一目で確認できます。また、日報機能があれば、現場で直接処理できるため、事務所に戻っての入力・転記作業が不要になり、入力内容もテンプレートで統一できます。

さらに、写真・図面・資料などもクラウド(インターネット上の保存場所)で管理できるため、必要な情報を探す手間が大幅に減ります。

導入の際は初期費用や毎月の運用コストがかかりますが、現場のムダや手戻りが大幅に削減されることで、結果的にはコスト以上のリターンが得られる可能性があります。自社の業務フローや課題との相性を十分に見極めながら、長期的な効果も含めて検討することが大切です。

【まとめ】原価管理を機能させるためのポイント

原価管理での課題は、現場情報の遅れや属人化など、仕組みの問題によることが多々あります。

重要なのは、標準原価の設定から実績集計、差異分析、改善までを一貫して回せる体制を整えることです。

施工管理アプリなどのデジタルツールも活用しながら、情報を正確かつタイムリーに、そしてシンプルに記録・収集できる環境づくりを目指しましょう。

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