今回は、施工管理で行う4つの管理(品質・工程・安全・原価)のうち、原価管理についての基礎知識を紹介します。さらに業務の基本サイクルやよくある課題、効率化のポイントについても解説しています。

原価管理は、利益の確保と安定的な経営基盤を築くための重要な業務の一つです。「原価管理を担当することになった」「あらためて原価管理の基礎知識について知りたい」という方は、ぜひ参考にご覧ください。

  1. 1. 施工管理における「原価管理」とは?
  2. 2. 予算管理との違い
  3. 3. 原価管理で扱う「原価」とは?
  4. 4. 【原価の要素①】材料費
  5. 5. 【原価の要素②】労務費
  6. 6. 【原価の要素③】外注費
  7. 7. 【原価の要素④】経費
  8. 8. 原価管理の種類と役割
  9. 9. 原価管理の基本サイクル(PDCAと3つのフェーズ)
  10. 10. 【Plan】実行予算の作成(原価企画)
  11. 11. 【Do】原価の発生と実績収集(原価維持)
  12. 12. 【Check】予算と実績の差異分析(原価維持)
  13. 13. 【Act】次につながる改善の実行(原価改善)
  14. 14. 原価管理が機能することで得られるメリット
  15. 15. 収益性が上がる
  16. 16. 工程管理・品質管理の精度が向上する
  17. 17. 協力会社・発注者との信頼関係が向上する
  18. 18. 施工現場で起きやすい原価管理の課題
  19. 19. 【課題①】費用把握の困難さ
  20. 20. 【課題②】会計処理の複雑さ
  21. 21. 【課題③】現場や経理担当の負担の重さ
  22. 22. 原価管理を効率化するポイント
  23. 23. 施工管理を効率化するDXツール「施工管理アプリ」とは
  24. 24.DXトータル支援サービス「DEN-UP」でさらに便利に!

施工管理における「原価管理」とは?

原価管理とは、工事にかかる材料費・労務費・外注費・経費を正確に把握し、予算内で工事を完了させて目標利益を確保するための管理業務です。

施工管理における「4大管理(品質・工程・安全・原価)」の一つであり、工事全体の採算を左右する重要な役割を担っています。

【関連記事】施工管理の4大管理項目とは?仕事内容・目的・効率化する方法などを解説

予算管理との違い

原価管理と予算管理は、いずれも業務に関連するデータからコストを分析し、課題発見や経営判断に役立てる「管理会計」の一要素に位置づけられています。

しかし、原価管理は主に現状の原価を構成する数値を分析し、「今」発生しているコストを正確に把握することに重点があります。

一方で、予算管理は次年度や中期経営計画に基づき、「将来的」な目標予算を設定し、その達成に向けて方針を立てる管理手法です。つまり、これから達成すべき目標と計画を作ることが目的になります。

原価管理で扱う「原価」とは?

建設業の原価管理で把握すべき原価は、製造業で一般的な「材料費・労務費・経費」という3要素に、工事現場特有の費目である外注費を加えた4つの要素に大きく分けられます。

【建設業で扱う4つの原価】

  1. 材料費:資材にかかるお金
  2. 労務費:人にかかるお金
  3. 外注費:外部委託のお金
  4. 経費:上記以外にかかるお金

【原価の要素①】材料費

材料費は工事に使用する資材の費用で、直接材料費と間接材料費に分かれます。
木材や鉄骨、配管材など製品単位で費用が明確なものが直接材料費、釘や消耗品など少額で費用算出が難しいものが間接材料費に分類されます。

他の要素にも共通しますが、直接費については「どの現場で使ったか」が明確にわかるため、該当する工事に直接計上します。一方で、間接費は特定の工事にどれだけ使用したかが明確になりにくいため、工期や労務費などの関連する基準を元に配賦(割り当て)して計上します。

【原価の要素②】労務費

労務費は工事のプロジェクトに従事する職人や作業員への人件費を指し、こちらも直接労務費と間接労務費があります。直接費は現場で工事に直接関わった作業員の人件費、間接費は賞与や退職金、現場監督・事務員の給与など、特定の工事に分類することが難しい間接的な人件費となります。

【原価の要素③】外注費

外注費は協力会社や専門業者へ支払う費用です。

建設業においては電気工事や給排水工事、内装仕上げなど、多くの業務が外部委託されるため、特に変動が大きい項目となります。外注単価の変動は利益に直接影響しやすく、注意が必要な要素の一つです。

【原価の要素④】経費

経費は上記以外の費用をまとめたもので、現場事務所費や水光熱費、通信費、リース料、仮設費、保険料、交通費などが含まれます。

工期が延びるほど経費が増大するため、工程管理との関連性が強い点が特徴です。

原価管理の種類と役割

原価管理は、以下の3つの種類の原価を使い分けて行われます。

【原価の種類】

  1. 見積原価:予想コスト
  2. 標準原価:目標コスト(実行予算)
  3. 実際原価:実際に発生したコスト

見積原価とは、コストの見積り額のことです。材料費・労務費・外注費・経費で発生が予想されるトータルコストを受注前に予想します。

次に標準原価とは、利益を確保するための目標コストのことです。予算の基準として活用されます。

最後の実際原価とは、工事にかかった金額に基づいて算出された費用です。実際に材料費・労務・経費に使った費用と、協力会社に支払った外注費を集計します。

原価管理の基本サイクル(PDCAと3つのフェーズ)

原価管理では、工事の採算を確実に確保するために「企画・維持・改善」という3つの活動を継続的に行うことが求められます。

【原価管理の3つのフェーズ】

  1. 企画:予算を考える
  2. 維持:予算を守る
  3. 改善:対策を考える

原価管理の最初のフェーズとなる「原価企画」では、工事開始前に過去の実績を用いて利益が確保できる実行予算を作り込みます。

2つ目のフェーズとなる「原価維持」では、その予算から逸脱しないよう日々の発注や指示を適切に管理します。

そして3つ目のフェーズ「原価改善」では、予算と実績の差異を分析し、残りの工事や次の工事で原価をさらに下げるための取り組みを実施します。

さらに、これら3つのフェーズを効率良く回していくため、実務では「PDCAサイクル」というフレームワークを活用して進めていきます。

【原価管理のPDCAサイクル】

  1. Plan:実行予算の作成
  2. Do:原価の発生と実績収集
  3. Check:予算と実績の差異分析
  4. Act:次につながる改善の実行

各ステップについて詳しく見ていきましょう。

【Plan】実行予算の作成(原価企画)

計画段階(Plan)では、見積・積算・工事計画を基に各原価の予算を設定します。

材料費・労務費・外注費・経費を工種別・期間別に細かく割り振り、過去の原価データを参考にしながら目標利益を確保できる予算を組み立てます。

【Do】原価の発生と実績収集(原価維持)

実行段階(Do)では、予算の範囲内で原価を抑えることが求められます。

発注や外注契約を予算内で進め、都度内容をチェックします。また、日報や出面、納品書、請求書などから労務費・材料費・外注費を記録し、実際に発生した原価を正確に把握していきます。

【Check】予算と実績の差異分析(原価維持)

確認段階(Check)では、標準原価と実際原価を比較し、どこで超過が起きているのか、その原因が何かを特定します。

具体的には、工事の出来高(進捗率)を把握し、進捗に見合った原価になっているかを評価します。例えば、出来高が50%なのに原価を70%使っている場合は、効率低下や設計変更などの問題が疑われます。

【Act】次につながる改善の実行(原価改善)

改善段階(Act)では、発生した標準原価と実際原価の差異を是正し、将来の原価水準をさらに下げる取り組みを行います。

具体的には、発注方法の見直しや外注単価の交渉、作業計画の修正などが挙げられます。加えて、今回の原価実績や改善策の結果を記録し、次回の見積りや予算作成に生かすことで、継続的な原価改善につなげていきます。

原価管理が機能することで得られるメリット

次に、原価管理が機能することで得られるメリットについて見ていきましょう。

収益性が上がる

原価管理が上手く機能することで得られる最も大きな効果は、利益を確実に確保できるようになる点です。

原価管理が機能することで予算超過の早期発見が可能になり、その結果、資材発注の調整や作業手順の見直しなど、深刻化する前に迅速な是正策を打てるようになります。

さらに、労務費や材料費のロスが可視化されることで、どこに無駄があるのかを正確に把握でき、具体的なコスト削減の取り組みが進めやすくなります。

工程管理・品質管理の精度が向上する

原価管理は工程管理や品質管理とも密接に関連しており、現場全体の管理精度を高める効果があります。

まず、原価データを分析することで工程遅延の兆候がつかみやすくなります。予定出来高に比べて労務費が過剰に使われている場合、「効率が下がっている」「工程が遅れている」という明確なサインとなり、早期の対策につながります。

また、品質の安定維持にも貢献します。適切な資材や人員を予算内で確保できるため、安価な材料への変更や手抜きといった品質低下を防ぎ、必要な品質を適正なコストで維持できます。

【関連記事】工事の工程管理とは?工程表の作成手順や効率化に役立つツールの導入方法

協力会社・発注者との信頼関係が向上する

原価管理の精度が高まるほど、協力会社や発注者との信頼関係も向上します。

過去データに基づいた標準単価を持つことで、根拠ある金額で契約でき、公平で建設的な取引がしやすくなります。引いては、過度な値引き要求の抑制にもつながります。

さらに、設計変更などにより費用が増える際も、実績値や予測値に基づいた明確な根拠を示すことができ、説明責任が果たしやすくなります。

施工現場で起きやすい原価管理の課題

原価管理の方法は会社によって様々で、その管理方法によって管理の精度や負担が大きく変わります。

大手企業のように専用システムで管理するケースもあれば、中小企業ではエクセルを中心に管理している場合が多く、さらに「どんぶり勘定」で工事ごとの粗利を把握しない運用も見られます。特にどんぶり勘定では赤字工事を早期に発見できないという重大な問題があります。

こうした背景の中、施工現場では次のような課題が起きやすくなります。

【原価管理の課題】

  1. 費用把握の困難さ
  2. 会計処理の複雑さ
  3. 現場や経理担当負担の重さ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【課題①】費用把握の困難さ

工事現場では扱う材料や部品の種類が非常に多く、特にあらゆる現場で使用する資材については、現場単位で管理するのが難しいという実情があります。また、使用量や単価の変動も大きいため、管理が複雑になりがちです。

さらに、自社の作業員と協力会社が混在する現場では、出来高に対する正確な費用把握も困難です。

【課題②】会計処理の複雑さ

建設業は、他の産業と比べて、建設業法や独特な商慣習(請負契約、長期にわたる工事期間など)が存在するのが特徴です。そのため、独自の会計処理が必要となります。

工事の売上(収益)を計上する基準としては、工事がすべて完了して顧客に引き渡した時点で売上と原価の全額を計上する方法と、工事の進捗度に応じて会計期間ごとに売上と原価を按分して計上する方法があり、どちらを採用するかで損益計算に大きな違いが生まれます。

【課題③】現場や経理担当の負担の重さ

出来高や実績の記録、差異分析など、原価管理には多くの工数が必要です。特に、日報から稼働時間や使用材料を集計したり、単価を確認したりする作業に時間がかかり、現場や経理担当の負担が大きくなります。

原価管理を正確にしようとするほど作業量が増え、「そこまで時間をかけても効果が見合わない」と感じる現場が多いのが実情です。原価管理が重要だと分かっていても、実務負担とのバランスが大きな課題となっています。

原価管理を効率化するポイント

原価管理を効率的に進めるためには、まず見積原価から実行予算、そして実績までを一元管理できる仕組みを整えることが重要です。情報が分散していると、比較や分析に時間がかかり、正確な判断ができなくなります。

次に、現場の記録をリアルタイムで入力し、現場と本社の情報の遅れをなくすことも大切なポイントです。写真や日報などのデータが即時に共有されることで、原価の変化を早期に把握でき、適切な対策を迅速に打てるようになります。

さらに、外注契約や材料発注のルールを明確にし、担当者が変わっても同じ形式でデータを扱えるようにすることもポイントです。記録内容のばらつきが減ることで、集計や分析の精度が安定し、管理業務がスムーズになります。

施工管理を効率化するDXツール「施工管理アプリ」とは

原価管理が安定して機能すると、会社全体の収益構造が見える化されます。その結果、どの工事が利益を支えているのか、どの部門に改善が必要なのかといった情報が正確に把握でき、新規事業の判断や設備投資などの経営判断をスピーディーに進めることができます。

そして、原価管理の精度はデータの整理と共有体制によって大きく向上します。こうした基盤を強化する手段として、工事現場では施工管理アプリの導入が進んでいます。

【施工管理アプリの特徴】

  • 現場データのクラウド一元管理
  • 原価に影響する変化のリアルタイム把握
  • 外注管理や進捗共有の効率化
  • 記録の属人化防止とデータ精度の向上

例えば、施工管理アプリで日報を電子化すれば、現場の稼働時間や使用材料の記録・集計の手間を大幅に削減できます。

【関連記事】工事日報の書き方は?現場の作業効率がアップする活用術も解説

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