施工管理の4大管理のうち、特に管理が難しいとされる「原価管理」。

建設業の中でも電気設備関連の工事は材料が多く、会計処理や単価管理も複雑で、現場担当者・経理担当者の負担は大きいものです。

そこで本記事では、電気工事の原価管理が難しい理由と、負担を軽減するポイントについて解説します。また、原価管理を効率化するクラウドシステムとは何か、基本的な機能や導入するメリット、選び方についてもご紹介します。

  1. 1. 建設業における原価管理の基本
  2. 2. 電気設備工事の原価管理が難しい理由と背景
  3. 3. 理由①:電気工事は材料の種類が多い
  4. 4. 理由②:労務費と外注費の区別が難しい
  5. 5. 理由③:集計や確認作業に時間がかかる
  6. 6. 原価管理の負担を軽減する改善ポイント
  7. 7. ポイント①:日報・作業実績をリアルタイム化
  8. 8. ポイント②:材料管理の仕組み化・標準化
  9. 9. ポイント③:工程管理と原価管理の連動化
  10. 10. 施工管理のクラウドシステムとは?基本機能とメリット
  11. 11. 施工管理を効率化するクラウドシステムの選び方
  12. 12. 現場のDXで原価管理の本質的な改善を
  13. 13.DXトータル支援サービス「DEN-UP」でさらに便利に!

建設業における原価管理の基本

建設業の原価管理では、工事にかかるお金を無駄なく使い、できるだけコストを下げることが目的となります。

そして総原価は工事に直接かかった費用に販売費と一般管理費を加えたもので構成され、そのうち工事原価は「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の4つに分けて考えます。外注の比率が高いため、外注費が独立した項目になっている点が、製造業とは異なる特徴です。

【工事原価の構成】

  • 材料費(ケーブル・器具など)
  • 労務費(自社従業員の人件費)
  • 外注費(協力会社・一人親方への支払い)
  • 経費(現場の共通費、レンタル費など)

なお、このように費用を項目ごとに整理して管理する方法を「形態別原価計算」と呼びます。

【関連記事】施工管理の「原価管理」とは?基礎知識や業務の基本サイクルを解説

電気設備工事の原価管理が難しい理由と背景

電気設備工事の原価管理が難しいのは、「丁寧にするほどコストに見合わない」という点に集約されます。正確に管理しようとするほど工数が増え、そして「ここまでやる意味があるのか?」という声が上がりやすく、そのため原価管理が後回しになり精度が落ちる負のループが起きやすくなります。

【電気設備工事の原価管理が難しい理由】

  1. 電気工事は材料の種類が多い
  2. 労務費と外注費の区別が難しい
  3. 集計や確認作業に時間がかかる

理由①:電気工事は材料の種類が多い

電気設備資材はA材・B材・C材に分類されます。

分類 具体的な資材
A材 機器類 配電盤、分電盤、照明器具、火災報知器、インターホン、電力計、ブレーカーなど
B材 機器・消耗品以外
(A材・B材以外)
ケーブル・電線、配線、配線器具、プルボックス、ネグロス部品など
C材 消耗品・雑材 テープ、ビス、スリーブ、ネジ、結束バンドなど

A材に分類される資材は、どの現場でどれくらい使用したか把握できますが、B材やC材はさまざまな現場で使用されるため管理しづらく、また、使用種類が多いほど使用量の把握や単価管理の難易度が上がります。

特に、配線などは現場ごとに長さが変わるため使用量が変動しやすく、ムダ材や端材の発生が計画より増えるケースも少なくありません。

理由②:労務費と外注費の区別が難しい

電気工事に限ったことではありませんが、建設業界では人手不足や専門性の点から外注することが多いのが特徴です。 会計処理としては、自社の従業員が工事を行った場合は労務費、対して他社の従業員が工事を行った場合は外注費として計上するのが基本となります。

ところが、材料や道具を自社で用意し他社が工事のみ行う場合や、他社に応援を依頼する場合など、労務費と外注費を区別するのが大変難しいという実情があります。会社によっては「材料は自社負担・作業員や職人は委託」という場合に「労務外注費」という勘定科目を使用することもありますが、明確に区別されているわけではありません。

会計処理を実施する現場担当者や経理担当者によって認識が違っていると、正しい原価が計算できなくなるだけでなく、会計処理に一貫性がないことから税務調査で指摘が入る恐れもあります。

理由③:集計や確認作業に時間がかかる

計算ミスや漏れなく各費用を集計することも、原価管理の主要な実務の一つです。

例えば、労務費は職人や作業員が毎日提出する日報(作業報告書)に基づき、誰が・いつ・どれだけ・何をしたかという情報を集計します。そして、集計した時間にあらかじめ設定した時間単価をかけて、その日の工事ごとの労務費を計算して、実行予算と照合します。

そのため、日報が紙ベースだったり、日報の提出が遅れたりすると、その後の集計作業がどんどん遅れてしまうのです。

また、材料費については、購買伝票や発注書に記載された単価と数量が正しいか確認し、それらの資材がどの工事のために発注されたものか、現場で計画通りに使用されているかなどを照らし合わせながら集計します。

これが、使用した時期が予定とずれたり、経理と現場の間で認識がずれてしまったりすると、確認作業のやり取りが増え手間がかかります。

外注費についても同様で、協力会社との契約書や発注書、請求書に記載された単価・工数・作業範囲を確認し、現場監督が把握している日々の作業報告と一致しているかを突き合わせなければなりません。

そして、適正な単価で計上されているかを厳しくチェックしなければならず、現場の大きな負担となります。

原価管理の負担を軽減する改善ポイント

電気設備工事の原価管理は、正確に行おうとするほど工数が膨らむ構造になりがちです。

しかし、ポイントを押さえることで、現場の負担を減らしつつ、原価の精度を高めることが可能です。

ここでは、特に効果の高い3つの改善ポイントを紹介します。

【原価管理を効率化するポイント】

  1. 日報・作業実績をリアルタイム化
  2. 材料管理の仕組み化・標準化
  3. 工程管理と原価管理の連動化

ポイント①:日報・作業実績をリアルタイム化

原価管理を効率化するポイント1つ目は、日報・作業実績のリアルタイム化です。

従来の紙日報では、提出タイミングの遅れや文字の読み間違い、集計担当者の負担増などの問題が避けられず、「集計が遅れる→原価把握が遅れる」という後追い原価になりがちでした。

リアルタイム入力を可能にする仕組みを導入すれば、「労務費の把握が早くなる」「遅れや予算超過が初期段階で発見できる」「日報記入や集計作業のムダが削減できる」といったメリットが得られます。

結果として、原価管理が後から慌てて確認する作業ではなく、日常の中で自然と行われる業務に変わっていきます。

ポイント②:材料管理の仕組み化・標準化

ポイントの2つ目は、材料管理の方法を仕組み化・標準化することです。

まず、材料管理では「3定の原則」が基本となります。

【3定の原則】

  1. 定位:置く場所を決める
  2. 定品:置くものを決める
  3. 定量:置く量を決める

この3つを徹底することで「どこに何がどれだけあるか」が明確になり、資材の種類が多くても管理がしやすくなります。

その上で、エクセルやクラウド在庫管理システムを使って「入出庫量」「現場ごとの使用量」などを記録していくと、材料費のブレが抑えられます。

さらに、電気工事では追加工事や軽微な変更が発生しやすく、ここが最も原価漏れにつながりやすいポイントです。例えば、「ちょっと配線を伸ばした」「コンセント位置を変更した」といった小さな変更であっても、材料が追加で必要になることがあります。

こうした変更点を現場で素早く記録し、材料使用量に反映させる習慣が、材料費の取りこぼし防止につながります。

ポイント③:工程管理と原価管理の連動化

ポイントの3つ目は、工程管理と原価管理の連動化です。

工程管理と原価管理は目的こそ異なるものの、相互に強く関連する領域です。

工程が遅れると、作業員の稼働時間が増える(=労務費の増加)、追加手配の外注費が発生する、資材使用タイミングがズレて確認作業が増えるなど、直接的に原価を圧迫します。

そのため、工程の進捗をリアルタイムに把握し、問題が起きたら、残業で一時的に挽回するのか、手空きの作業員や経験豊富な職人を割り当てるのか、作業員を増員してスケジュールを圧縮するのかなど、即座に改善策に着手できる体制が必要です。

施工管理のクラウドシステムとは?基本機能とメリット

原価管理と、関連する材料管理・工程管理を効率化するためには、クラウド型の施工管理システムを活用するのが効果的です。

クラウド型の施工管理システムとは、インターネット経由で利用する建設業向けのシステムです。設計図・写真・日報などの工事情報をクラウド上で一元管理し、関係者(現場・事務所・協力会社など)がPCやスマホからいつでもどこでもリアルタイムでアクセス・共有できます。

一般的な施工管理システムには、次のような機能が搭載されています。

【施工管理システムの基本機能】

  • プロジェクト管理
  • 工程・スケジュール管理
  • 写真・資料管理
  • 業務日報
  • チャット機能 など

また、施工管理システムの中でも、特にクラウド型システムには以下のメリットがあります。

【クラウド型システムのメリット】

  • クラウド上に自動でデータ保存される
  • 事務所・現場・外出先など場所を問わず入力できる
  • 社員間で最新情報をリアルタイムに共有できる
  • 更新履歴が残り、改ざんリスクが低減する

施工管理システムには、クラウド型の他に、自社にサーバーを置いて管理するオンプレミス型があります。クラウド型で得られるメリットよりも、セキュリティを重視されたいという場合は、オンプレミス型を検討してみると良いでしょう。

施工管理を効率化するクラウドシステムの選び方

施工管理システムを選ぶ際は、機能の多さではなく「自社に必要な改善ができるか」がポイントとなります。以下のポイントを押さえて選ぶといいでしょう。

【施工管理システムを選ぶポイント】

  • 必要な機能(原価・工程・日報・写真など)が搭載されているか
  • ITに不慣れな人でも使える操作性か
  • パソコン・スマホ・タブレットなど、どの端末で使えるか
  • 改ざん防止やログ管理などのセキュリティが十分か
  • サポート体制が充実し、導入後の運用も任せられるか

これらの機能的・サービス的なポイントに加えて、導入費用も比較検討する必要があります。クラウド型の相場としては、初期費用が0円~20万円程度、ソフトウェア利用料が月額1万~5万円程度です。

現場のDXで原価管理の本質的な改善を

電気設備工事の原価管理は、材料の種類が多く、外注の区分も複雑で、日々の集計作業も膨大になりがちです。丁寧に管理しようとするほど工数が増えるため、どうしても後回しになり、結果として原価の精度が下がってしまうという負のループが課題となっていました。

原価管理は、担当者の努力量だけで改善できるものではなく、仕組みでミスやムダを起こさせない環境をつくることが本質的な改善策となります。

現場の負担を減らし、利益率を底上げするためにも、自社の原価管理プロセスを一度見直してみてはいかがでしょうか。

現場の効率化はDXトータル支援サービス「DEN-UP」で!

DEN-UPは、電気工事会社様に寄り添い、課題やお悩みをDXで解決するためのトータル支援サービスです。異なる機能を持つ以下のアプリケーションをまとめてご利用いただけます。

  • 施工管理に役立つ「KANNA」
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